高耐食性アルマイト [AD864] 概要
アルミダイカスト材の1種であるADC12材は鋳造性、機械的特性及び被削性および量産性が良く、アルミダイカスト合金別の生産比率では90%以上を占める最も多く使用されているアルミダイカスト材です。
しかし、アルマイト皮膜の性質上、湯流れ(流動性)向上のためにケイ素が9.6~12.0%と多量に含まれていることから、アルマイト処理の際に金属組織中に微細に形成される共晶のケイ素部位は酸化されないため皮膜が成長せず、介在物の表面に酸化アルミニウム皮膜が均一に生成しにくくなります。
また、アルミダイカストは腐食に弱いといわれている中で、ADC12材は銅の含有により、アルミニウムとの電位差が大きいため腐食が生じ、耐食性が特に劣るとされています。しかし、優れた機械的性質と量産体制の取れる合金として使用するにあたり耐腐食性を求めるニーズが後を絶ちません。
塩水噴霧試験結果(5,000時間)
左:一般アルマイト 右:AD864 材質:ADC12
当社では使用量の多いADC12材のアルマイトと耐腐食性に着目し、腐食しにくいアルマイト皮膜AD864を開発しました。当社のAD864処理はアルミダイカスト材の欠点を克服するべく開発した機能的アルマイトであるため、面粗度が小さく均一な皮膜の生成と高い耐食性を両立させたアルマイトです。ADC12材に限らず、全てのアルミダイカスト材で発生する欠点をADC864処理で克服します。
高耐食性アルマイト [AD864] 特長
高耐食性アルマイト [AD864] | |
色調 | グレー~灰褐色 |
皮膜厚さ | 5~15µm |
SST(塩水噴霧試験法) | 5000時間 |
耐食性試験
各種アルマイトの塩水噴霧試験結果(試験時間:168時間)
当社開発 高耐食性アルマイトの塩水噴霧試験結果
※試験片は軽金属製品協会製ダイカスト用標準試験片(ADC12)を使用
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高耐食性アルマイト [AD864] 用途
- 半導体部品
- 医療機器部品
- 精密部品全般
高耐食性アルマイト [AD864] 対応可能な材質・大きさ
ADC10、ADC12等ダイカスト製品におすすめです。