耐食性とは何ですか?
腐食物質を含む環境にさらされたときに耐える性質(JIS H0201アルミニウム表面処理用語)のことを指します。要求された環境においていかに長持ちできるかを図ります。
耐摩耗性とは何ですか?
摩耗負荷に対する表面の抵抗性(JIS H0201アルミニウム表面処理用語)を指します。2つ以上のすり合う面がどのくらい長持ちするかを図ります。
アルマイトで硬さと耐摩耗性は同じですか?
硬さ用のアルマイトを硬質アルマイトと呼ばれていますが、耐摩耗性用のアルマイトの呼び名が日本にはありません。しかし、実際の使用例を見てみると、耐摩耗性として使用される例が80%以上あると推測されます。硬さと耐摩耗性は 50 µm以上の硬質アルマイトの硬さではおおむね比例していると考えていますが、皮膜が極端に硬くなると、逆に脆さが出て、耐摩耗性が落ちる傾向にあります。
皮膜硬さと耐摩耗性は関係ありますか?
一概に皮膜が硬いから耐摩耗性があるとは言えません。皮膜によっては600HVの硬さを有する皮膜もありますが、耐摩耗性はJISの硬質アルマイトよりも劣ります。また、高い硬さを有しているセラミック系の陽極酸化皮膜においては、皮膜の脆さにより耐摩耗性が充分に発揮できなかったという事例もあります。
付着力試験(エルコメーター試験)とは何ですか?
付着力試験とは、塗膜と下地面、塗装層同士、または下地の付着力を定量的に求めるプロセスのことです。
付着力試験で使用する測定器には、エルコメーター試験機を使用します。
【付着力試験方法】
- 測定範囲により5種類(0~0.2,0~3.5,0~7.0,0~15,0~22MPa)の中から選択します。
- ドリー(円筒形の引張端)を接着剤で塗膜に固着させてから、ドリーを引き上げる力を徐々に強め、ドリーを引き上げ(プルオフ)ます。
- 塗膜が剥がれたときに目盛を読み取り、読み取った値が塗膜の付着力となります。
※試験後にドリーの接着面を検査して、試験が失敗しなかったことを確認する必要がございます。
試験機の詳細についてはエルコメーター社のHPをご覧ください。
碁盤目試験とは何ですか?
碁盤目試験法(クロスカット試験法)は塗装の品質性能である密着性・付着性を調べる試験です。
【試験・評価方法】
- 切り傷の間隔が1mmの場合、試験面にカッターガイドを使用し、カッターナイフを用いて、素地に達する11本の切り傷を縦、横方向から付け、100個の碁盤目を作ります。(切り傷の間隔は1mm、2mm、5mm等、試験に応じて行います)
- 碁盤目部分にセロテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、試料の未剥離部分の数量で評価します。
現在、JISでは以下のように規定されています。
廃盤となった旧「JIS K5400 塗料一般試験方法」の碁盤目法、碁盤目テープ法、クロスカット(K5400ではX字にカット)は1999年に制定された「JISK5600 塗料一般試験方法」の5-6に移行し、碁盤目の数が旧碁盤目試験法の100マスから新しく決められたクロスカット法は「素地まで達する6本の格子状(碁盤目様)の切り込みを入れた」時にできる25マスと試験方法が簡略化されました。
JIS K5600ではクロスカット法は、「付着性の測定手段とみなしてはならない」とあります。
塩水噴霧試験とは何ですか?
塩水噴霧試験は大気腐食を対象にした腐食試験法の1つです。
試験方法としては、腐食液(5%塩化ナトリウム水溶液)を35℃の雰囲気下で連続または間欠的に噴霧した雰囲気に試験片をさらして行います。
自然状態で長時間費やして生じる腐食挙動を、短い時間に圧縮して評価する促進試験法の1つです。
規格としては、ISO9227、JIS Z 2371、JIS H 8502 、ASTM B 117等があります。
その他、腐食試験でよく使用される試験機として複合サイクル試験があります
RN(レイティングナンバ)とは何ですか?
腐食試験を行った後の腐食評価の1つで、皮膜を貫通していない変色などの表面欠陥及び試験片の端面に生じた腐食は評価の対象としません。腐食の面積の有効面の全面積に対する比率(腐食面積率という)によって、表1に示す段階に区分し、それぞれのレイティングナンバ標準図表(JIS-H8679-1の付属書A)と比較し評価します。