耐摩耗性アルマイト [タフガード®] 概要
本来、耐摩耗性は硬質アルマイトに求めるものかと思いがちです。しかし、アルマイトの実際の摩耗試験は試験方法が多く、「どの材料で、どの方法で、どの様に行っていいか」など複雑なため不明な点が多いこと、更に試験時間もそれなりに要してしまいます。
一般的に硬質アルマイトといえば硬さを示す傾向にありますが、使用例から推察すると「耐摩耗性アルマイト」と表現するのが本来の目的に適しています。このようにアルマイトの中で一般的に多く勘違いされる項目の一つが「硬さ」と「耐摩耗性」です。硬いから耐摩耗性があると言われていますが、実は皮膜のみで結合力が強固の場合のことを指しており、封孔等の別の物質に変化させると皮膜は柔らかくなり、耐摩耗性が下がる傾向にあります。
一方、硬質アルマイトにおいて硬さを求める場合は封孔処理を行いません。その理由としては、非晶質のγ-アルミナが封孔することで水和物に変化するため、硬さが落ちてしまうからです。そのため、封孔する目的は耐食性を重視する時に施し、通常は行っておりません。封孔の中で特殊封孔によって表面層の硬さを上げることも可能ですが、この皮膜は結合力が弱く、耐摩耗性は通常の硬質アルマイトと同等レベル、むしろ摩耗粉が脱落して皮膜を壊すことがあるので、使用するには注意が必要となります。
当社のタフガードは、上記のような硬さと耐摩耗性の誤解から生じる問題を解決するために開発された処理です。皮膜自体の結合力が強い上、硬さも十分にあり、特に耐摩耗性を重視しております。
耐摩耗性アルマイト [タフガード®] 特長
色調 | 灰黒系~黒の色調 |
耐摩耗性 | 1.8倍(JIS規格による硬質の1μmあたりの摩耗量を1.0とした時) |
耐摩耗性試験※1
※1: 往復運動平面摩耗試験 (一社)軽金属製品協会にて試験 (A1050:#240研磨紙, 押付け力19.6N)
※2: 当社従来品の耐摩耗性試験の結果を1としたとき
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耐摩耗性アルマイト [タフガード®] 用途
摺動部品等のピストン、シリンダー等
タフガード – バルブ / A6061、A5056
耐摩耗性アルマイト [タフガード®] 対応可能な材質・大きさ
【対応可能材質】
- 純アルミニウム系:A1050、A1100、A1200
- 耐食合金系:A5052、A5056、A6061、A6063
【対応可能最大サイズ】400×150×400mm